ハンス・J・ウェグナーがデザインしたW2ダイニングチェアは、シンプルでありながら彫刻的な存在感を持つ作品です。流れるようなフォルムと軽やかなシルエットは、単なる日常家具を超えて、芸術作品のような佇まいを感じさせます。

背もたれは緩やかなカーブを描き、座る人を包み込むような安心感を与えます。特徴的なのは、椅子の背が無垢材から削り出されている点で、贅沢に材を用いた構造になっています。この削り出しによる立体的な形状が、視覚的な豊かさと堅牢さを同時に実現しています。

脚部は外側に広がり、椅子全体をしっかりと支える構造を形成しています。見た目は細身ですが、緻密に計算された角度と接合部の強度によって、優雅さと安定感が同時に保たれています。機能上の必然性が、デザインの美しさに直結しています。

素材にはチーク材が使用され、各部は伝統的なほぞ構造によって精密に組み上げられています。仕上げは職人の手で丁寧に施され、木肌の質感や細部の磨き込みが椅子全体の完成度をさらに高めています。こうした職人芸が、W2の持つ静かな気品を裏打ちしています。

W2は、デザインの美しさ、構造的な合理性、そして高度な職人技の三要素が高い水準で融合した椅子です。背もたれの削り出しに象徴される贅沢な素材使いと、全体の調和のとれた造形は、ウェグナーの哲学を明確に示す名作といえます。

在庫6脚