ハンス・J・ウェグナーが1949年にデザインした「ザ・チェア（PP501/503）」は、デンマーク・モダニズムを象徴する名作として知られています。　 

　

その製造は、当初ウェグナーと深い信頼関係にあった家具職人ヨハネス・ハンセンの工房で始まりました。滑らかな半円形の背もたれとアームが一体となった造形は、木工技術の粋を結集したものであり、発表当時から高く評価され、アメリカの『Interiors』誌では「世界で最も美しい椅子」と称されました。

ウェグナー自身も「初めて自分の良さが出た椅子で、安物の感じはないし、無駄もない」と語るように全体的なフォルムの美しさ、座り心地、貫を使わない脚部、ジョイント部分を見せるフィンガージョイントなどあらゆる点において完成度が高く、ウェグナーの最高傑作のひとつとして称されています。　 

　

1960年には、ケネディとニクソンの大統領討論会で使用されたことで一躍世界的に有名となりました。

ヨハネス・ハンセンの逝去後、ウェグナーはPPモブラーと協力関係を築き、この椅子の製造は現在、PPモブラーによって引き継がれています。 

　

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→PPモブラー訪問｜守り継がれるデンマーク家具の精神

　

PPモブラーは、見えない箇所に至るまで徹底した手仕事と品質管理を行い、「100年持つ椅子」としての理念を体現しています。「ザ・チェア」は、普遍的な美しさと構造的完成度を兼ね備えた逸品として、世代を超えて受け継がれるべきデザインの遺産です。