JH-513アームチェアは、20世紀デンマーク家具の黄金期を象徴する傑作です。
デザインを手掛けたのは「椅子の巨匠」ハンス・J・ウェグナー、製作は名工ヨハネス・ハンセン。デザイナーと家具職人という二人の天才が出会い、互いの技術と感性を最大限に引き出すことで生まれた一脚です。

最大の魅力は、その造形にあります。高く快適な背もたれ、控えめで繊細なフレーム、そして座面とフレームの間に生まれる繊細な余白。この軽やかな意匠は、空間に圧迫感を与えず、むしろ周囲の空気を柔らかく引き立てます。リビングやダイニング、ラウンジなど、どの場面にも自然に溶け込みながら、確かな存在感を放ちます。

素材には、温かみあるチークが木材が用いられています。張り地はヴィンテージヌバック加工をしたアニリンレザーが使用され、年月を重ねるほどに美しい古艶を帯びていきます。

接合部は、ヨハネス・ハンセンの工房らしい正確で緻密な木工技術によって組み上げられています。派手に主張することはありませんが、細部まで計算された仕口が全体の美しさと耐久性を支えています。これこそが、ウェグナーが大切にした「素材と構造の誠実さ」の表れです。

日常の中で使うほどに愛着が増し、同時にその価値も育っていく——。
JH-513は、デンマーク・モダンの精神と熟練の職人技を凝縮した、時代を超える名作です。