
Kaare klint / フォーボーチェア / Rud. Rasmussen
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デザイナー | |
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製造元 | Rud. Rasmussen |
素材 | マホガニー,レザー |
サイズ | W700×D540×H730×SH450(mm) |
1914年にフォーボーチェアは、若き日のカール・クリントが建築家カール・ペーターセンと共に手がけた「フォーボー美術館」のために生み出された、空間全体と一体化するための総合芸術作品の一部としてデザインされました。フォーボー美術館そのものが、建築・家具・照明・装飾が統合された「Gesamtkunstwerk(総合芸術)」の理念に基づいて設計されており、フォーボーチェアもその中で極めて重要な役割を果たしました。

■フォーボー美術館
この椅子は、美術館内で作品を鑑賞する訪問者が、視界を遮ることなく自由に持ち運びできるよう、驚くほど軽やかに設計されています。控えめで繊細な佇まいは、空間の静けさを乱すことなく、むしろ全体の視覚的リズムを整える存在となっています。たとえば、透け感のあるラタン座面(当時の仕様)からは、美術館の美しいモザイク床が自然に透けて見え、視覚的連続性を保つための配慮がなされています。このように、椅子そのものが建築空間の一要素として綿密に位置づけられていることは、クリントの空間全体を見据えたデザイン思考を如実に物語っています。
さらに、この椅子の造りは、美術館に設置される常設家具としての耐久性と品質を考慮した、極めて高度な職人技によって支えられています。全体は13の木製部材から構成され、それぞれが緻密に接合されており、構造の安定性と視覚的な軽やかさを両立しています。中でも背もたれと側面に張られたフレンチラタンは、1脚あたり12〜20時間をかけて熟練した職人の手で丁寧に編み上げられ、織り手によって微妙に異なる表情が生まれます。この「個人的な手の痕跡」こそが、量産品では決して再現できないフォーボーチェアの魅力のひとつです。
また、肘掛けを兼ねた曲線的な背もたれや、細く先細りして床へと伸びる脚部は、視覚的にも構造的にも極めて洗練されており、強度と軽やかさを見事に両立させています。選ばれる木材も、マホガニーやオーク、ウォールナットなど、美しさと堅牢性を兼ね備えた素材ばかり。こうした材の選定と技術は、フォーボーチェアが単なる空間構成要素を超えて、家具そのものが一つの芸術作品として成立していることを証明しています。
フォーボーチェアは、クリントの人間中心のデザイン思想、建築空間との調和、そして職人の手による造形美が高度に統合された、デンマークモダンの原点を体現する傑作です。その存在は控えめでありながら、空間に静かな重みと格調を与える──まさに「実用的な芸術品」と呼ぶにふさわしい椅子です。
この椅子の魅力は、単に見た目の美しさにとどまりません。普遍的な人間のニーズに応えるプロポーション、装飾を排した機能美、そして歴史と革新が交差する物語。こうしたすべてが結びつくことで、フォーボーチェアは「時代を超越したデザイン」として、今日も世界中の人々を魅了し続けています。
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